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リアルな研究者の卵~理系大学生へ~

理系大学生(博士課程)です。備忘録的なことを記事にしています。主に研究や物理の考え方について

近似式~テイラー展開とフーリエ展開~

テイラー展開 (Taylor expansion)とフーリエ展開・フーリエ変換(Fourier expansion, Fourier transform)についての記事を書きながらTeXの練習や記事の作り方の練習をします

   

 

 

 

 

展開って何のためにするの?

数式の展開って、講義で習うとなんのためにやるのかよくわからないですよね*1

私の持つ答えを先に言ってしまうと、注目したい成分の解析に役立つから習う、です。

テイラー展開であれば、「横軸を { \displaystyle x } としたとき、この関数(関係式)には { \displaystyle x^n } の係数はooと表せる 」とか*2フーリエ展開(変換)であれば、「この関数には周波数 { \displaystyle \omega } の成分がoo含まれている。周波数 { \displaystyle \omega_0 }の成分にピークを持つ」なんて解析ができます。純粋数学での利用価値は私にはわかりません。でも、物理や研究にとっては大きな意味を持っています。研究においては、「特にこの成分に着目する」「二乗の関係に着目する」ということが多々あります。また、物理の理論においても、「この周波数に着目する」とか「線形関係に着目する」とか。そういうもののために習います。その紹介記事です。

 

 

テイラー展開

もしかしたら高校生でも一部を習うかもしれません。これは、{ \displaystyle y=f(x) } で表せる関数に対して、{ \displaystyle f(x)=a_0 + a_1 x+a_2 x^2 + ...}と表してしまおう。というものです。あまり注目されていないメリットとして、「不定積分できない関数の積分値を強引に求めることができる」というものがあります。

もちろん、厳密解ではないです。でも実際の計算、利用の上では、定量的に一致した値であれば、特に問題は出ません。積分範囲が狭いほど、このやり方は力を発揮すると思います*3

 

テイラー展開の計算と利用

とある数式 { \displaystyle y=f(x) }に対して { \displaystyle x=a }の周りで

{ \displaystyle f(x)=  \sum_{n=0}^\infty \frac {f^{(n)}(a)}{n!} (x-a)^n} と展開するのが { \displaystyle x=a }周りのテイラー展開です*4。実際には、{ \displaystyle x=0 }周りのテイラー展開である、「マクローリン展開」を使うことが多いです。

積分に応用するとき、例えば{ \displaystyle -0.1 \leqq x \leqq 0.1 }積分するときは、マクローリン展開({ \displaystyle x=0 }周りのテイラー展開)をして、積分をしましょう。

{ \displaystyle n }をいくつまで適用して積分するべきか、それは、精度によります。大雑把に値が必要なだけ・桁が分かればいい等であれば{ \displaystyle n=1 }で十分でしょうし、有効数字4桁必要なんだ、とあれば、4桁目が変化しなくなるまで展開して計算を続ける必要があるでしょう*5。そうやって使ってます*6

   

 

フーリエ展開・フーリエ変換

定義通りに言えば、これは周期的な関数が、どのような周波数で構成されているか、を解析するものです。これは説明がちょっとむつかしいです。ただそれは私の国語力に起因しているものなので、わからないからと言って悲観することはないです。

これを利用した測定器で最も偉大なものは「ロックインアンプ」だと私は思います。フーリエ変換やその周辺知識が付いた後にこのアンプの仕組みを知った時は大変感動したものです*7

基本的に、いろんな形の関数*8を作製して電気回路に流したり、サンプルに照射するときは、フーリエ変換の知識を使って波形を作製します。おそらく、正弦・余弦的な関数が信号として作成が簡単だから、ではないでしょうか*9。「この周期的な波形を作りたい」⇒「フーリエ変換して周波数ごとの強さを調べる」⇒「得られた周波数ごとの強さで波形を作成する」ということができます。

フーリエ展開の計算

ある関数 { \displaystyle y=f(x)}に対し、それをフーリエ変換した関数 { \displaystyle y=F(\nu)}は、

{ \displaystyle F(\nu)=\int_{-\infty}^\infty f(x)exp(-2\pi ix\nu) dx}

と表せます。「自分が知っている式と違う!」と思われるかもしれません。そこがこのフーリエ変換のむつかしいところなんです。理由を簡単に言うと、いろんな流派があるんです。特に、係数に何をつけるか、という。それは、自分の専門によって変わります。逐一覚える必要は全くないです*10。使い方、根本の考え方だけ理解しましょう。

積分範囲は、講義積分で無くとも、一定の周期が分かっていればその周期で積分すれば十分です。

 

 

 

この定義だけで使い方がわかる人はほとんどいないと思います。

詳しい話は控えますが、変換できるのは、{ \displaystyle t\leftrightarrow \omega }*11{ \displaystyle x\leftrightarrow p }*12など、決まったものしか変換できない、と思ってください*13

 

これによって、時間変化する関数がどんな周波数成分をどれぐらい持っているのか変換したりできます*14

 

この計算がどのような仕組みで行われているかというと、この式です。

{ \displaystyle \int_0^{2\pi} sin(mx)sin(nx) dx=\pi\delta_{mn}}*15

つまり、この積分をすることで着目したい成分以外を0にすることができる、という性質を利用しているのです。

そして、これを使った非常に頭の良い測定器がロックインアンプです。これは、周波数を指定すると、その成分を検出する、ただそれだけです。はっきり言って、ネットワークアナライザー*16スペクトラムアナライザ*17より周波数解析においては機能は劣っています*18。でもその仕組みに感動しました。

設定した周波数の三角関数を合成して、電気信号を積算する。それだけです。でも、ここに、三角関数の直行性や、様々な関数をフーリエ変換できることによる成果など、いろんな知識が詰め込まれているのを感じて感動しました。

 

 

ロックインアンプにいたく感動した変な人ですね。

テイラー展開フーリエ展開

 先ほどのテイラー展開と異なっている点は、「成分が項ごとに出てくるのではなく、関数として一気に出てくるところ」です。これが見えにくいせいで、テイラー展開フーリエ変換が、同じようなことをしていることに気が付かない人が多いです。

つまり、これらの関数展開は「解析がむつかしい関数を、解析しやすい形に直す」ただこれだけをやっているのです。それだけです。その結果、注目したい成分の解析に役立つのです。

*1:私は研究室に入るまでわけわかりませんでした。計算自体はできましたが

*2:せいぜい { \displaystyle n \leqq 2 } までしか使ったことありませんが…

*3:{ \displaystyle \int_0^\infty f(x)dx } のような広義積分で、しかも複素解析でも解けないような場合ってどうするんですかね…?私は知らないですが、やっぱりテイラー展開積分とか、区分求積とかを定量値が変わらなくなるまでするんですかね?

*4:{ \displaystyle f^{(n)}}はn階微分を表しています。

*5:{ \displaystyle n=3~4 }ぐらい?

*6:本当はコツがありますが、煩雑で、それだけで記事が書けそうですし、超ニッチなので今回はパスで。。。

*7:どこに感動するかは人それぞれです

*8:周期的な関数

*9:正確な理由はわからないです。電源が交流、正弦余弦なのは関係あるんですかね?

*10:試験を除いて

*11:時間と周波数

*12:位置と運動量

*13:できるかどうかの詳しい議論は知りませんが、基本的にこの組み合わせでしか使わないです

*14:後は粒子の位置による存在確率を粒子の運動量に変換したり

*15:あってるよね…?

*16:ネトアナ

*17:スペアナ

*18:測定レンジや、目的の周波数に対する解析するものとしては非常に優秀です。