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リアルな研究者の卵~理系大学生へ~

理系大学生(博士)が理系大学生(後輩)と科学の発展を願う人に向けた記事を書きます。たまに個人的な趣味も記事にします。

ものを遠くに投げる

ちょっとした日常(読み物?)

ツイッターでちょっと話題になった話について、昔の授業課題の話をします。

   

 

体育の授業で遠投があった。どこまで遠くに投げられるのだろうか。

 

先生が「45°の角度で投げれば一番飛ぶ」と言っていた。当時は合理的に感じた。それが一番遠くに飛ばせるだろうと。案外、人間は投げるときに低く投げてしまうもので*1それに対して角度をつけて投げるのが一番いい道だと感じた。

 

しかし、一番遠くに投げる野球部の彼の投擲の様を見ていると、どうも45°には程遠く感じた。試しに動画を撮って角度を測ってみると、35°ぐらいだったと記憶している。

「本当は45°より低い角度が一番飛ぶんじゃなかろうか。」

当時、そういうことをぼんやり考えたまま過ごしていた。

   

 

そして時は流れ、大学でプログラミングを習い、自分で設定した課題を解く、というお題が出た。私は直ちに、物を投げる角度の最適な条件を探した。当時は具体的な値を代入して解いたが、今回は抽象的に議論する。

 

初期条件は、投射高が { \displaystyle h_0} 、初速度は { \displaystyle v_0}投射角度は { \displaystyle \theta}にした。

 

式自体は簡単で、鉛直方向の式から、着地までの時間 { \displaystyle \tau } を、水平方向の式から飛距離を求めればいいはず。

 

鉛直方向の求めるべき式は、

{ \displaystyle -h_0 = v_0sin\theta*\tau -\frac12g\tau^2}

だ。この{ \displaystyle \tau}を使って水平(L)方向の式に値を代入すると、

{ \displaystyle L=v_0cos\theta *\tau}になる。

 ここからは数学*2だが、この距離Lを{ \displaystyle \theta }微分して0になる点が、最も飛ぶ角度になるはずだ*3

まず  { \displaystyle \tau }を求めると、二次方程式なので、

{ \displaystyle \tau=\frac{v_0sin\theta \pm \sqrt{v_0^2sin^2\theta+2gh_0}}{g}}

 

が得られる。{ \displaystyle \tau \geq0}なので、求める値は、 

{ \displaystyle \tau=\frac{v_0sin\theta + \sqrt{v_0^2sin^2\theta+2gh_0}}{g}}

になる。これを水平方向の式に代入して、

{ \displaystyle L=v_0cos\theta*\tau=v_0cos\theta*\frac{v_0sin\theta + \sqrt{v_0^2sin^2\theta+2gh_0}}{g}}

この式を

  { \displaystyle \theta}微分し、微分係数が0になる時、 { \displaystyle A\equiv \frac{v_0}g }として、

  { \displaystyle \frac{\partial L}{\partial \theta}=-Asin\theta(v_0 sin\theta+\sqrt{v_0^2sin^2\theta+2gh_0})+} 

  { \displaystyle Acos\theta(v_0cos\theta+\frac{v_0^2sin\theta cos\theta}{\sqrt{v_0^2sin^2\theta+2gh_0}})=0} 

を満たす。

…計算があまりに大変だが、テクニックを使う。細かいことは省く。

共通の定数Aを省略し、また、  { \displaystyle v_0}で両辺を割る。そして、三角関数の公式を用いるなどして、簡略化すると、

  { \displaystyle cos2\theta+sin\theta \frac{cos2\theta-\frac{2gh_0}{v_0^2}}{\sqrt{sin^2\theta+\frac{2gh_0}{v_0^2}}}=0}

 が得られた。

気になる項、  { \displaystyle x\equiv \frac{2gh_0}{v_0^2}}として、y軸を角度にしてGrapesを使って解くと、

 

f:id:physine:20170309232722p:plain

こうなる。つまり、投射高が投射速度に比べて大きければ、角度は水平に近づき、投射高が速度に比べて小さければ、45°に投げるほうがよくなるのだ*4

 こんな風に、一見あたり前のようなことも実際に調べてみると違う結果を生み出したりする。身の回りをもっと*5、確認してみたいと思う*6

 

Grapesはこちらからどうぞ。

www.physine.tech

 

 

これを保存していたUSBのデータが例のあれで消えたので、皆さんも注意を*7

www.physine.tech

 

   

続き、作りました。

www.physine.tech

 

*1:20°ぐらい

*2:計算

*3:本当は二階微分が負になっていないとだめだがまぁ、大丈夫でしょう

*4:次元の違う量を比べているような文言だが、正確に言えば、「重力と高さの積」と「速度の二乗」の比較

*5:特に当たり前だと思っていることについて

*6:私は特に、今まで当たり前だと思われていた、とある「物性」についての研究なので、特に思う

*7:いらないデータでしたが