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リアルな研究者の卵~理系大学生へ~

理系大学生(博士)が理系大学生(後輩)と科学の発展を願う人に向けた記事を書きます。たまに個人的な趣味も記事にします。

東京タワーからものを落とす。

犯罪です。気を付けましょう。

 

冗談はさておき、今回から何回かにわたって、東京タワー(ぐらいの)高さからものを落下させたときのことを文章にします。

意外なことを書きたいです。

   

いろんなことについて

 

 落下速度について(空気抵抗はなし)

 

どれぐらいになると思いますか?読者には物理系の人が多いと思うのであんまり細かくは計算しませんが、例えば空気抵抗がなかった場合。

高さ{ \displaystyle 333\ m}で、重力加速度が{ \displaystyle 9.8\ m/s^2}のとき。初速度が0で自由落下させると、地面に到達するときの速さ{ \displaystyle v}は、

{ \displaystyle v^2\ -\ v_0^2\ =\ 2gh}

{ \displaystyle v^2\ -\ 0^2\ =\ 2*9.8*333}

この式から求められます。答えは、{ \displaystyle 80.8\ m/s}です。{ \displaystyle 291\ km/h}です。速すぎ?

 

さて、これに空気抵抗を付けた時にどのように変化するのか。

   

自由落下について(空気抵抗あり)

空気抵抗がどれぐらい、スピードを下げる作用があるのか見てみましょう。

 今回、空気抵抗は、速度に比例したものをつけようと思います*1

空気抵抗{ \displaystyle F}は、半径{ \displaystyle R}の球に対し、空気の粘性率を{ \displaystyle \eta}、球の速度を{ \displaystyle v}としたとき、

{ \displaystyle F=6\pi \eta vR}と書き下せます。

運動方程式に代入すると、下向きを負として

{ \displaystyle m\ \frac{d^2x}{dt^2}\ =\ -mg\ -\ 6\pi \eta vR\   }*2

です。{ \displaystyle v\ =\ \frac{dx}{dt}}とします。

初期条件として、{ \displaystyle v_0\ =\ 0,\  x(0)=333}にして、これを解くと、

{ \displaystyle x(t)\ =\ -\ \frac{m^2g}{36\pi^2 \eta^2 R^2}exp(-\frac{6\pi\eta R}m \ t)\ -\ \frac{mg}{6\pi\eta R}\ t\ +\frac{m^2g}{36\pi^2 \eta^2 R^2}+333}

となります*3 。さて、ここから、{ \displaystyle x(t)=0}になる時刻tを求める必要があるのですが*4、到底、解くのはむつかしいので、Wolfram alphaにお願いしました。まずは、野球ボールについて。{ \displaystyle 150*10^{-3}\ kg},半径{ \displaystyle 3.7*10^{-2}\ m}とします。空気の粘性率は { \displaystyle 1.8*10^{-5}\ Pa\ s}とします。

 

 

f:id:physine:20170313235012p:plain

 

およそ8.24秒!!

この数字を使って速度を計算すると、

{ \displaystyle v(t)\ =\frac{mg}{6\pi \eta\ vR}exp(-\frac{6\pi\eta R}m \ t)-\frac{mg}{6\pi \eta\ vR}}

なので、

f:id:physine:20170313235334p:plain

 秒速約80.7 m/s ,時速 291 km/hです。空気抵抗なしとほとんど同じ…?

適当にググった終端速度を見ると、大体、33 m/s, 121 km/hぐらい。

速すぎますねぇ。。。

 

これはつまり、今回の近似*5ではいけない、ということになる、一筋縄ではいかない問題なのであった。。。

気になる人は、レイノルズ数とかでググって調べてみてください。

http://www.sit.ac.jp/user/konishi/JPN/L_Support/SupportPDF/TerminalVelocity.pdf

ここも参考にしてみてください*6

 

 

力尽きました…。

解けなくてすみません。ただ、抵抗の問題は簡単には解けないむつかしいものだ、ということが分かっていただければ…(逃)

 

後編は空気抵抗がなくても起こる変な現象について解説します*7

 

   

*1:抵抗はいろんな種類のものがあります。速度の二乗に比例するものとか。でも今回は、二乗の項が効かないぐらい速度が小さい、という仮定の下、計算してみます。実測とずれたら、また考えるべき項が増える、ただそれだけです。物理が敗れたわけではないです

*2:ここ、空気抵抗は上向きに働くから符号はプラスじゃないのか、と考えられがちですが、抵抗は、速度に対して逆向きに働くのでこのままで大丈夫です。結構、紛らわしいです。

*3:個人的なコメントですが、この数式、エラーをはかずに一発で出力できたのでうれしいです。

*4:そのあと、v(t)にそれを代入することで速度を求めます。

*5:抵抗が速度に比例

*6:出典を張り忘れるのは悪いことです

*7:予想がつくかもしれません