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リアルな研究者の卵~理系大学生へ~

理系大学生(博士課程)です。備忘録的なことを記事にしています。主に研究や物理の考え方について

物理的に運動を考えてみる~走り幅跳び~

なんとなく、モデルを立てて計算、というものをやってみようと思う。題材は、モデル化が簡単そうだから、という理由で走幅跳*1

モデル化することで、どこまでこの分野に助言できるのだろうか…*2。いや、どうせもう調べられているでしょうし、あんまり貢献できるとは期待しないです。

 

   

 

 

何をモデル化するか

 

さて、モデル化するときに何を考えるのか。

さすがに、一つ一つ、筋肉の動きから足の動きから何から何までモデル化することはできない。

 踏切をモデル化しようと思う*3

発端としては、やはり、体育の授業で「一番遠くに飛ぶ角度は何度だ?」からです。

 

 

何を検証したいのか

そりゃあもう、決まってます。

「どの角度で踏み切るのがいいのか」です。

 

問題点

ここで解決するべき問題は、「踏み切りとは何か」です。

いまいち掴めない概念です。

 

「踏み切り」の概念をどう解決するか

 モデル化しましょう。「一瞬力を入れて跳ぶ」ようなので、「力積」で近似します。

理由としては、人体の重さを考慮に入れようと思うから、そして、助走スピードに対してどう跳ぶべきかを考えたいから、です。

これらはつまり、「実際、45°の角度で跳ぶのって無理じゃない?」というところから考えは来ています。

 

人体をどうやってモデル化するのか

人を跳ばし、力積を考慮し、着地などを考える以上、重量や大きさを考える必要が出そうです。

しかし、今回は、大きさは考えないようにしようと思う。大きさを考えない代わりに、踏み切り後は「投射高のある斜方投射」として近似する。

 

ここまで考えれば

今回の計算・実験は「重さのある質点を、踏切位置で力積を加えた後、斜方投射させる」と言い換えていいかもしれない…*4

 

 

   

前提条件を考える

 さて、考えるべき前提条件はいくつか。

助走速度は?

質点の重さは?

与えることができる力積は?

質点の高さは?

 

助走速度は?

計算が簡単なので、10 m/s としましょう*5

 

質点の重さは?

65 kg ぐらいとしましょう*6

 

与えることができる力積は?

これはむつかしい。とりあえず垂直跳びの平均的な記録から推測すると、70 cmぐらい跳べると思っていい…?

これぐらい跳ぶとすると、与えられる力積 { \displaystyle I }

{ \displaystyle I=65\ *\ \sqrt{2*9.8*0.70}\ }

 です。これぐらいにしましょう。

 

質点の高さは?

重心の位置でいいのでしょうか、それとも股下の長さ…?とりあえず、90 cmにしましょう。

  

   

さて、計算しましょう。

どんな計算をするかと言えば、

踏み切りで、質点に力積を与える。です。図解するとこんな感じ。変数として、力積を加える方向を{ \displaystyle /theta }として計算します。実際には力積を与えた向きに反対で同じ大きさで反作用を受けるので、自分が加える力積の向きは逆になります。

 

f:id:physine:20170402145050p:plain

 

何気に、重心座標系とデカルト座標系を混ぜていますが、質点が受ける力に関しては重心座標系、質点の運動はデカルト座標系で計算しています。

 

 どんなことを考えるか。

複雑な計算はなるべく減らしたい。

そこで、変数{ \displaystyle \theta }に対して、どんな速度になるのか、一般化しよう。そうすればあとは先日の斜方投射に絡めて何とかできるはずだ。

そう考えれば計算自体はシンプルで、踏切が限りなく短い時間で完了するとして、

x軸方向…{ \displaystyle \frac{10\ *\ 65\ +I\ sin\theta}{65} }

y軸方向…{ \displaystyle \frac{Icos\theta}{65} }

になるはず。 

速度Vは、

{ \displaystyle V= \frac{\sqrt{4325+4815sin\theta}}{65} }

踏み切り後の跳び出し角度{ \displaystyle \theta _0}*7

{ \displaystyle \theta _0=tan^{-1}\frac{241cos\theta}{650+241sin\theta}}

です*8

さて、ここから人力で計算するのはむつかしいので、いつものGrapesに計算させます*9

 

f:id:physine:20170402144142p:plain

さて、今回は厳密に計算はしませんが、どうやら、力積を重心に対して真上に加える真下に向かって力を加えると最も遠くに跳ぶようです。つまり、{ \displaystyle \theta =0}

さて、その時に飛び出す角度{ \displaystyle \theta _0}を見積もると、

 

f:id:physine:20170402144819p:plain

 

約20°!

全然45°じゃない!!

 

考察

そもそも、これ、友人の大雑把なデータを使っただけで世界記録を超えてしまった*10おめでとう。

シミュレーションが甘い大雑把であることも一因だと思うが、シミュレーションが正しいと仮定すると、実際には踏み切りの瞬間に減速していることになりそうだ。助走で減速はないと思うので。実際、関節で力が分散するとかなんとか…?*11

あと人によっては踏切前に体が沈んだりしているので一概には言えなさそうですが、今回の条件では、です!!!

 

 

しかし、ここから新たに発見できることもたくさんあるはず*12で、そこからより良いシミュレーション・近似を見出したり、新しいトレーニングにつながると大変うれしいです。

 

しかし実際には本職の方がきちんと調べていると思われます。本気で理論的なことを知りたければそちらをもっと参照することを強くお勧めします*13

   

結論

モデル化して走幅跳の最適な踏み切り方向と跳びだし角度を見積もった。

真下に向かって力を加えることで最も遠くに跳べそうだということが分かった。その際の跳びだし角度はおよそ20°だった。

実際に踏み切る方向と跳び出す方向には差異があることを知った。

 

謝辞(?)

友人、名前を出していないとはいえ体重出してごめんよ。世界記録おめでとう(?)。ポテンシャルはありそうだ笑。

 

間違っていたり変だったらコメントください。。。

 

長文にもかかわらず読んでいただきありがとうございました!!

 

 

使ったソフトです。

 

グラフ作製ソフト

www.physine.tech

 

計算などの万能ソフト

www.physine.tech

*1:本当は友人に依頼されたから

*2:ちなみに私、全然、走幅跳はできません

*3:まぁ、先に思いついていたのですが…

*4:あくまで近似。ここからどこまで現実に対して言及できるかは別問題

*5:友人はこれぐらい?

*6:これぐらいだそうです

*7:力積を加える向きとはまた異なります

*8:arctanを使うとずるい気がするのはあるあるだと思います笑

*9:本当はできますが…

*10:8m95

*11:グラップラーバキという漫画が頭をよぎりました

*12:はず…

*13:万が一そういう研究者がいなければ、ここには物理学が介入するチャンスが残っていることになりますが、そんなことはなさそうです